洋楽パラダイス
私が中高校生時代に流行した洋楽の曲を振り返るブログです。80年代が中心で、大学時代に流行した曲もあります。本業は高校の世界史教師


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Author:zep
70~80年代の英国ロックを振り返る「英国ロックの深い森の入り口」というブログもやっています。本業は高校の世界史教師。



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キリエ / Mr.ミスター
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 Mr.ミスターの2ndアルバム『ウェルカム・トゥ・ア・リアル・ワールド』(85年)から、全米No.1となった「ブロウクン・ウィングス」に続く2枚目のシングル。この曲も86年3月に2週連続で1位を記録し、年間チャートでも9位にランクされています。前作「ブロウクン・ウィングス」が暗めの曲だったのに対し、明るいロック調のナンバーで、リチャード・ペイジのハイ・トーンのヴォーカルが冴える曲です。歌詞に出てくる「キリエ・エレイソン(Kyrie eleison)」とは、ギリシア語で「主よ、憐れみたまえ」の意味で、キリスト教会の典礼で用いられる重要な文言のひとつ。4分25秒のアルバム・ヴァージョンはフェード・アウトで終わりますが、4分18秒のシングル・エディットは、"Kýrie, eléison, down the road that I must travel"という歌詞が演奏なしで歌われて終わります。



 プロデューサーのポール・デヴィリアーズ(Paul De Villiers)は、イエスの『ビッグ・ジェネレーター』の制作途中でトレヴァー・ホーンが降板した後、プロデュースを引き継いだ人物。『ウェルカム・トゥ・ア・リアル・ワールド』全体を包む80年代エレクトロニクスの感覚は、彼の手によるものでしょう。AllMusicの『ビッグ・ジェネレーター』の項目では、デヴィリアーズ自身が興味深い内容を記しています。
http://www.allmusic.com/album/big-generator-mw0000197000/user-reviews


85年ニューヨークでのライヴ。


 「キリエ」日本盤シングルのライナーには、次のようなエピソードが紹介されています。
「あるインタビュー記事の中で、リチャード・ペイジがスタジオ・ミュージシャン時代に、モトリー・クルーやヴィレッジ・ピープルなど多くのグループのためにトラ(ヴォーカルの吹き替え)をやっていたことを話したところ、それ以来彼のもとには"もっとその手の話しを"というインタビュー依頼が殺到している。」
 以前「ブロウクン・ウィングス」で紹介した、「かつてボビー・キムボールの後任としてTOTOに、ピーター・セテラの後任としてシカゴにそれぞれ誘われた」というエピソードともども、彼の巧さを感じさせる話です。


リチャード・ペイジによる「キリエ」弾き語り(2011年)。


 リチャード・ペイジは、2010年から、元ビートルズのリンゴ・スターが率いるリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのメンバーとしてツアーに参加しています。2013年にオーストラリアのメルボルンで行われたステージでは、元Mr.ミスターのドラマーで、キング・クリムゾンのメンバーでもあるパット・マステロットが、ビートルズ・ナンバー「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」の演奏に参加しています。


リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドでの「キリエ」。



リチャード・ペイジのインタビュー(2014年)
http://www.museonmuse.jp/?p=5254




エヴリバディ・ハヴ・ファン・トゥナイト / ワン・チャン
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 イギリス出身ながら、本国よりもアメリカで人気があったワン・チャン最大のヒット曲。彼らの4枚目のアルバム『モザイク』からの1stシングルで、1986年末から翌年にかけて全米2位を記録しました。2週連続2位となりながらもトップに立てなかったのは、当時人気絶頂だったバングルスの「エジプシャン(Walk Like An Egyptian)」という強力なナンバー(4週連続1位)と同時期にあたってしまったという悲運が原因。
 バンド名通りのややオリエンタルな雰囲気も感じられる一方、彼らの魅力である「ロックよりのダンサブルなエレ・ポップ」が炸裂する好ナンバーです。サビの部分で"Everybody Have Fun Tonight"を"Everybody Wang Chung Tonight"と歌うところもおもしろい。プロデュースは、スターシップの「シスコはロック・シティ」を手がけた、オーストリア出身の方の(元J.ガイルズ・バンドのヴォーカルじゃない方の)ピーター・ウルフ。続く2枚目のシングル「レッツ・ゴー」も9位とトップテン入りを果たし、3枚目の「ヒプノタイズ・ミー」は36位まで上がりました。


ゴドレイ&クレームによるプロモーション・ヴィデオ。コマ撮りを駆使した映像は、「てんかん発作を起こす」とされ放送禁止となった模様(英語版Wikipedia)。


バック・ヴォーカルの女性の存在感がハンパないスタジオ・ライヴ



「レッツ・ゴー」 中国と日本を勘違いしてる?



「レッツ・ゴー」のスタジオ・ライヴ



 「ヒプノタイズ・ミー」ヴォーカルのジャック・ヒューズは「キャメロン・ディアスに似てる」という声があったが、むしろ幸田シャーミン。








ライオンズ・マウス / カジャグーグー
 最近、職場の同僚や同級生(大学教授)から記事への称賛をいただき、意気上がっております。

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 2枚目のアルバム『Islands』(84年)から、「ビッグ・アップル」に続く2枚目のシングルで、全英最高位25位。キャッチーなメロディーに加え、打ち込みを多用したポップな音作り♪Hey, Hey, Hey, Hey,Heyというコーラス、「Watch out! 」「I don't think so」という合いの手など、クールでちょっとファンク要素も入った印象深い曲です。そして素晴らしいのがPV。オフィシャルのPVになかなかお目にかかれないのは、政治的すぎてイギリスで放送禁止になったからという理由らしいですが、アーティスティックで素晴らしいPVです。



 
 リマールが抜けた後のカジャグーグーはあまりパッとしないイメージですが、逆に音楽性は高くなっていったように感じます。特に2ndアルバム『アイランズ』は、「ビッグ・アップル」「ライオンズ・マウス」「バック・オン・ミー」というクオリティの高い楽曲を含む大傑作アルバムでした。しかし最初のシングル「ビッグ・アップル」が全英8位で、「ライオンズ・マウス」に続く「バック・オン・ミー」が同じく47位なので、「落ち目」「一発屋」のイメージができあがってしまった観があります。



 インタビューで ニックは「カジャグーグーのアルバムで好きなものは1枚もないよ。今になって聴くのは困難を伴う作業だ。どれも良いアルバムだとは思わないんだ。」と語っていますが、『アイランズ』は傑作アルバムです。リマールをレイオフした後のゴタゴタもあったので、「僕が当時のアルバムを好きでないのは、音楽そのものよりも、当時の思い出の方が強く残っているからかも知れない。」という彼の言葉は、理解できるような気がします。

 
2008年のカジャグーグー再結成ツアーで、リマールをバック・ヴォーカルに演奏される「ライオンズ・マウス」。


 この「ライオンズ・マウス」は、チャップマン・スティック(通称「スティック」)という特異な楽器をポピュラーな存在にした曲でもあります。スティックとは8弦(または10弦、12弦)の弦楽器ですが、両手で別々の弦をタッピングすることで、ベースの低音リズムとギターのメロディを同時に出せるというユニークな楽器です。ギターやベースの場合、片手で弦を弾いて音を出しますが、スティックは両手の指を使って同時に音を出します。音を出すときはフレットに対して弦を叩きつけるので、演奏する感覚としては鍵盤楽器に近いものがあるそうです。いずれにせよ、演奏するには高い音楽的センスとテクニックを必要とするので、このような楽器を早くから扱っていたニック・ベッグスの才能恐るべしです。

 こうしたニック・ベッグスのベース・プレイはミュージシャンからも高い評価を得ており、ジョン・ポール・ジョーンズ(元レッド・ツェッペリン)やスティーヴン・ウィルソン(ポーキュパイン・トゥリー)、そして最近ではスティーヴ・ハケット(元ジェネシス~GTR)のツアーに同行しています。



80年代、エイドリアン・ブリューとともにキング・クリムゾンを支えた名手トニー・レヴィンのスティック・プレイ。ニックがスティックを手にしたきっかけは、1978年にピーター・ガブリエルのバンドでトニーがスティックを演奏する姿を見たからとのこと。


 

【ニック・ベッグスのオフィシャル・サイト】
http://nickbeggs.co.uk/

【ニック・ベッグスのインタビュー①】
チャップマン・スティックを演奏するようになったきっかけについて語っています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamazakitomoyuki/20160421-00056854/

【ニック・ベッグスのインタビュー②】
カジャグーグー時代の興味深い話の数々について語っています。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamazakitomoyuki/20160423-00056930/





ニックのスティック・プレイ。素晴らしい!


9時から5時まで / ドリー・パートン
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 カントリー歌手のドリー・パートンが、自らも出演したコメディ映画『9時から5時まで』(1980年、アメリカ、コリン・ヒギンズ監督)のテーマ曲として歌った曲。1981年の2~3月にかけてカントリー・チャートのみならずナショナル・チャートでも全米No.1となりました。翌1982年のグラミー賞では4部門にノミネートされ、そのうちカントリー楽曲賞、女性カントリー・ヴォーカル賞を獲得しています。バックには、ギターにジェフ・バクスター(スティーリー・ダン~ドゥービー・ブラザース)や、ピアノにラリー・ネクテル(ブレッド、S&G「明日に架ける橋」でピアノを弾いている)などの腕利きが起用されています。



 タイトルの「9時から5時まで」(原題「9 to 5」)とは出勤時間と退勤時間をあらわしています。働く女性が協力してセクハラ上司をやっつけるというストーリーの映画は大ヒットし、アメリカにおける1980年度の興行成績では、「スター・ウォーズ:帝国の逆襲」に続いて第2位を記録するヒット作となりました。曲の方は2004年にアメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)が発表した「アメリカ映画主題歌ベスト100」で78位にランクされています。[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E6%98%A0%E7%94%BB%E4%B8%BB%E9%A1%8C%E6%AD%8C%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88100]


【映画のストーリー】(ネタバレあり)
 離婚して生活費をかせぐために就職することになったジュディ(ジェーン・フォンダ)は、先輩のバイオレット(リリー・トムリン)から、副社長フランク・ハート・ジュニア(ダブニー・コールマン)がセクハラ放題で女性をこき使う非常な上司だと聞かされる。バイオレットは10年以上のキャリアを誇るベテランで、4人の子供をもつ未亡人。フランクを新人社員時代から育てたのは彼女であったが、そのバイレットをフランクはアゴでコキ使っていたのである。フランクの秘書ドラリー(ドリー・パートン)は金髪のグラマーで、音楽家の夫がいたが、彼女にフランクが夢中で、何かと彼女の気をひこうと苦心していた。このため社内では、2人の仲が噂になっており、彼女は周囲から白い目で見られていた。一方ジュディはミスを連発し、フランクに無能呼ばわれされる。ある夜、ドラリーはフランクが自分と不倫しているとデマをとばしていたのを知りショックを受けて酒場に来たところ、そこには同じような不満をもったバイオレットとジュディが来ており、3人は大いに意気投合する。その日ドラリーの家に集まった3人は、フランクをいかにして殺すかを語り合った。ハンターになって射ち殺すというジュディ、投げ縄で殺すというドラリー、毒入りコーヒーを飲ますというバイオレット・・・。ところが翌日、フランクがコーヒーを飲む寸前に椅子から落ち病院へかつぎこまれたことから大騒動がおこってしまう。コーヒーに猫イラズを入れたバイオレットは、それを飲んだために倒れたのだと誤解し、しかも病院で他人の死体を見て彼だと思いこみ、その死体を処分しようと車で運び出してしまった。しかし、途中他人の死体とわかり病院に戻し、翌日フランクが無事だと知って3人はホッとする。しかし、3人の行動をスパイ社員ロズ(エリザベス・ウィルソン)の報告で知ったフランクに脅迫されたため、3人は彼を2週間監禁し、その間に社内改善を断行してすべての社員が働きやすい状況に変えてしまった。しかしそれが大きな効果を上げ、業績は20%もアップした。釈放され会社に戻ったフランクは、能率アップの手腕が評価され、ブラジルで新たに始める事業の責任者に抜擢されることになった。3人は彼のブラジル行きを大いに喜ぶのだった。

 1980年には、まだセクハラという言葉も一般的ではなかったと思います。女性社員がコメディータッチでイヤな上司をやっつけるストーリーには、時代を感じます。「9時から5時まで」は1981年2月21日に「ビルボード」でトップに立ちますが、翌週から2週間はエディ・ラビットの「恋のレイニー・ナイト」にトップの座を譲りました。しかし、3月14日に再びトップに返り咲くという根強い人気を誇った曲です。
http://www.billboard.com/archive/charts/1981/hot-100
 年間チャートではエディ・ラビットが8位で、この曲は9位です。逆でもよかったのでは?

 コメディー映画の主題歌らしい軽快なメロディーと、「They Let You Dream Just to Watch Them Shatter;You're Just a Step On the Boss Man's Ladder,But You've Got Dreams He'll Never Take Away.In the Same Boat With a Lot of Your Friends;Waitin' For the Day Your Ship'll Come In,And the Tide's Gonna Turn, and It's All Gonna Roll Your Way.」という前向きの歌詞から、
アメリカでは働く女性を象徴する聖歌となっているとのこと。当時デビューしたばかりのシーナ・イーストンは、同じタイトルの『9 to 5 』という曲がイギリスでヒットしていたため、パートンの曲と混同されないよう『Morning Train (9 to 5) 』とタイトルを変えてリリースしています。




パートタイム・ラバー / スティービー・ワンダー
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 スティーヴィー・ワンダーの20枚目のアルバム『イン・スクエア・サークル』(1985年)からの先行シングルで、11月2日に全米No.1となりました。
 シュープリームスの「恋はあせらず」で有名なモータウンのリズム(ホール&オーツの「マンイーター」やジャムの「悪意という名の街」など)を使い、ダンサブルであると同時に打ち込みでクール仕上げた曲です。バック・ヴォーカルにルーサー・ヴァンドロスやフィリップ・ベイリーが参加しています。



 この曲は日本でカセットテープのCMに使われました。そのせいか、日本でリリースされた7インチには、2種類のスリーヴが存在します。番号はどちらも同じくVIPX-1820ですが、CMの写真を使用したヴァージョンと、笑顔のスティーヴィーのヴァージョンの2種です。笑顔ヴァージョンには『イン・スクエア・サークル』について「10月21日発売予定」とありますが、CMヴァージョンにはカセットテープの広告が印刷されています。CMの映像が完成した後、変更されたのかもしれません。


TDKカセットテープのCM


カセットテープCMの完全版